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2017/09/10

プロバイオティクスとの付き合い方:精神栄養学★事始め③

さて、今回も、
前回に引き続き、
精神栄養学のテーマです。

前回の記事は、こちら↓
脳腸相関とは?:精神栄養学★事始め②

前回は、
腸内フローラの維持を
療養生活の基本にしよう、
そういうメッセージでした。

では、具体的に、
何に取り組めばよいのでしょうか?

それを、今後、
4回にわたって、
お伝えします。

今回は、
プロバイオティクス(probiotics)
ですね。

次回は、
プレバイオティクス(prebiotics)
の予定です。

プロバイオティクスとは、
平たく言うと、
乳酸菌やビフィズス菌などの
善玉菌、
それ自体のことです。

具体的には、
そのサプリか、
それらを含んだ食品です。

食品の典型は、
ヨーグルト。

キムチや、
ザーワクラウト、
各種ピクルスなども
プロバイオティクスと言われます。

要は、
発酵食品、ですね。

一方、プレバイオティクスとは、
善玉菌の栄養になるもの。
具体的は、
食物繊維など、です。

つまり、
ヨーグルトと
食物繊維をいっぱい食べて、
腸内フローラを元気にしよう!

そして、うつを
ぶっ飛ばそう!

ということ、
なのですが…

・・・

通販の宣伝なら、
それで、よいのですが、
瑞枝通信としては、
これでは、マズい。

プロバイオティクスとの関連で、
よく研究されている、
潰瘍性大腸炎の場合を例として、
説明しましょう。

潰瘍性大腸炎とは、

大腸の粘膜がただれて、
腹痛、下痢、血便が起きる、

原因は不明ですが、
免疫システムの異常が
考えられている、

幅広い年齢層で発症する、
腸の炎症性疾患です。

ビフィズス菌の
BB536という株が、

その症状の緩和に有効、という
臨床試験のデータがあります。

その株、実は、
森永のビヒダスという
商品名のヨーグルトに
入っています。

お!
ビヒダス、食べれば、
潰瘍性大腸炎が治る?

残念ながら、
ちょっと、甘い。

臨床試験では、
サプリとして、
2000〜3000億個/日、
その株を摂取していますが、

それ、
ビヒダスでやろうとすると、
1日、なんと10kg、
食べないといけない、
そんな計算になります。

とほほ、ですね。

この例で、
お伝えしたいことは、

ちょっとした便秘の解消などの、
健康の維持、というレベルと、

潰瘍性大腸炎の治療、
というレベルでは、

摂取量に、大きな差が出る、
ということです。

・・・

ならば、うつ病だって、
大量のサプリ、摂取すれば、
いけるんじゃないか?

そう、思いますよね。

ただ、残念ねがら、
うつ病においては、

潰瘍性大腸炎における、
BB536のような、
臨床試験のデータを持った、
特定された株が、
まだ、発見されていません。

細菌は、
その種や、
その種の中でも、
特定の株によって、

プロバイオティクスとしての作用が、
全く、変わってきます。

だから、
BB536を大量に摂取したからといって、
うつ病に効く保証は、
ありません。

・・・

なんだか、
暗くなってきましたね。

結局、PSMとして、
どのように精神栄養学を実践すれば、
よいのでしょうか?

目下、小椋の結論は、
以下です。

うつ病の症状の改善、
それを直接の目標とせず、

まずは、
腸内フローラの改善を
目標にする。

これは、
うつ病の療養の中での、
睡眠の位置づけに、
似ています。

睡眠を改善したからといって、
それだけで、
うつ病が治るとは、
限らないが、
よい睡眠をとることは、
うつ病の療養で、
必須である、という感じです。

・・・

その腸内フローラの改善は、
何を指標にすれば、
よいのでしょうか?

便(うんこ)、
ですね。

プロバイオティクスにせよ、
プレバイオティクスにせよ、

結果として、
立派な便がでる、
そのような摂取の仕方を目指す。

便の観察を、
「観便(かんべん)」といい、
基本的な看護のスキルになっています。

これ、次々回に、
扱いたいと思います。

・・・

さて、
うつへの対策として、
乳酸菌を考える時、

Do:
プロバイオティクスや
プレバイオティクスを
食生活に取り入れ、

観便を習慣にして、

まずは、
腸内フローラの改善を試みる。

特に、
下痢、便秘、腹痛などの
症状がある場合は、
積極的に、取り組む。

Don’t:
プロバイオティクスを
食生活に取り入れたが、
うつが治らないじゃないか、と、
あきらめる、
あるいは、
どんどん高価なサプリを試す。

<補足>
結局、
プロバイオティクスとして、
具体的には、
ビヒダスは、よいと思います。

しかし、より多量に摂取しようと、
各種サプリを検討し始めると、
膨大な商品の中で、
なかなか、判断に困惑します。

ただ、サプリが無意味だ、
というわけではありません。

先ほどの、
潰瘍性大腸炎では、
医薬品にせまる臨床データを示す、
サプリ、いくつか、あります。

VSL#3、は、その代表格です。
https://vsl3.com
英語の公式サイトですが、
8種類の菌が、
高濃度で含まれていて、
臨床的な効果が証明されている、
と気合いをいれて、訴えています。
(が、輸入するとかなり高価です)

ただ、このレベルのサプリは、
精神疾患では、ないですね。

小椋としては、
プロバイオティクスとしての
サプリを試す前に、
まず、
プレバイオティクスをやってみる、
これを、おすすめします。

すでに、
お腹の中にいる菌を信じて、
彼らに栄養を、まず、
十分、あげてみよう、
というわけです。

これが、次回です。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。