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2019/12/30

コツコツやるためのコツとは(その5):主訴と標的症状



さて、今回は、
コツコツ療養に取り組むための
ヒントをお伝えするシリーズの
5回目です。

前回は、こちら↓

前回は、
タワーマンションの
おとぎ話の中で、
一つ、階が上がったことを、
何でもって、認知するのか

隣のマンションの、
特定の部屋の、
テーブルの見え方に
注目しましたね。

この、おとぎ話の例えは
実際の療養の中で、
どのように
活かせばよいのでしょうか。

おとぎ話の中の、
いくつかのポイントを、

療養生活の中での事柄に
一つ一つ、まずは
対応させてみましょう。

・・・

もとの階にもどりたい、
あの海がもう一度、見たい。

これ、診療では
主訴(しゅそ)と言います。

一番の困り事、
ということですね。

これ、皆さん、それぞれ、
いろいろ、あると思います。

しんどくならずに・・・、

外出できるようになりたい、
人に会えるようになりたい、
仕事できるようになりたい、
などなど。

この解決が、
目下の療養の目的であって、
これがクリアになっていることは、
療養をすすめて行く上で、
とても重要です。

これが、あいまいだと、
とても、モチベーションが
維持できませんから。

でも、非常階段を使って、
いきなり、もとの階にもどっても
うまく行きませんでしたね。

だから、一階、一階、
上がっていく・・・、
コツコツやるしかない、
ということでした。

・・・

コツコツやるモチベーションを
維持するために注目した、
あの、テーブルの見え方、

これ、診療では
標的症状、と言います。

療養がすすむ中で、
その様子を定期的に
追っかけていく、
ターゲット(標的)の症状、
という意味です。

療養の中で起きている現象は、
無数にあります。

例えば、
うつ病の方の療養なら、

落ちこんだ気分とか、
やる気のなさとか、

そのあたりを
標的症状にする場合が
多いでしょう。

でも、その標的症状は、
もっと上の階にあがらないと、
変化が確認できない場合が、
多いです。

だから、
それを標的症状にしていると、
変化が確認できないから、
コツコツ、
やっていけなくなりますね。

・・・

どん底階から、
一階、上がっただけでも、
その変化が認知できる標的症状って、
どんなものでしょうか?

例えば、
頭痛、とか、
下痢、などの
身体症状の場合が多いです。

うつ病による苦痛、
そのストレスに対する
からだの反応としての、
頭痛や下痢、ということ。

療養がすすみ
休息がとれるようになると
まず、それらの症状から
改善していく場合が多いです。

もちろん、
人それぞれで、

そもそも、そのような
身体症状のない場合や、

逆に、最後まで頭痛が残る、
という場合も、あります。

・・・

そんな、バカな・・・
そんなこと言っていると、
何を標的症状にしたらよいか
ぜんぜんわからないぞ・・・、

そう、思われても
仕方がないですね。

なので、次回以降、
疾患別に、具体的に、
ある程度の指針を
お伝えしようと思います。

自分とは違う疾患であっても、
こんなふうに、
標的症状を設定するんだ・・・、
というヒントにもなると思います。

・・・

最後に、もう一つ。

適切に、標的症状を
設定した後、どうやって、
その変化を追いかけるか、
という点です。

いわば、
テーブルを、漠然と
チェックするのではなく、
その表面の見え具合を、
表面の面積の広さを、
ある程度、
数量として、評価する。

例えば、
真横を、0

少し、表面が見えるなら、1

45度から
見下ろしている感じなら、5

仮想的に、真上から
見下ろしている感じを、10

多分、どん底階から
一つ上の階にいけば、
0から、1〜2、あたりに、
増えているハズです。

5まで、くれば、
もっと、
上の階に上がっているはずです。

この、数量化するという作戦は、
認知行動療法でも、
EMDRというトラウマの治療でも、
常套手段ですね。

わずかな変化、
わずかな差。

それをしっかり
認知するための工夫、
ということです。

・・・ 

コツコツ 
療養に取り組むことが 
難しい時、 

Do: 
主訴をしっかり確認した上で、
それとは別に、
現在の療養の段階でも
変化する余地のある
標的症状を適切に設定し、
その変化を数量化する。

Don’t: 
主訴にこだわり続け、
標的症状を設定しない。

あるいは、
現時点では変化の乏しい、
不適切な標的症状を設定し、
努力が報われないことに失望する。

あるいは、せっかく
変化する標的症状を設定しても、
変化をおおざっぱにしか把握せず、
努力が報われないことに失望する。

次回は、
具体的な疾患にそって、
標的症状の設定の仕方や、
追いかけ方を
探ってみましょう。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。