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2022/01/31

身体リテラシー入門⑰:不安階層表を活かせ!ーリハビリのゴールの設定



さて、身体リテラシーのシリーズ、
今回は第17回目です。

前回はこちら↓

前回は、曝露反応妨害法よりも
「塩加減」がマシな、

不安階層表」を用いた
行動療法の概要をお伝えしました。

特に、このシリーズで学んだことを
そこに「ぶち込む」と
とても効果的なリハビリになるよ、
という点を強調しました。

パニック障害で
精神科に通院中の30代、女性、
架空のB子さんにも
登場してもらいました。

B子さんと一緒に
このシリーズ、最後のゴールまで
進んでいきましょう。

適宜、用語の復習も
やっていきますね。

・・・

このシリーズで学んだ考え方の中で
重要なものの一つが、
エッジ、です。

復習は、こちら↓

(引用すると)
エッジ(境界)とは、
自我のゾーンと、
自我ではないゾーンとの
境界、という意味でした。
(引用終わり)

なぜ、エッジが重要かと言うと、
リハビリのゴールの設定に
直結するからです。

B子さんが
根源的な不安をなんとかするための
リハビリに取り組む時、

エッジの向こう側に
何を設定するかで、
ゴールが全く、違ってきます。

・・・

B子さんが、
エッジの向こう側を
根源的な不安そのもの、
と設定して、

エッジのこちら側を、
パニック発作の予兆も
根源的な不安も全く感じない自分、
と設定したとしましょう。

この設定で
不安階層表を用いたリハビリを
開始したとしましょう。

途中までは、
うまくいった。
まったく、不安感はなかった。

でも、ハードルを上げた時、
ぞわぞわする、あのイヤな感覚
フッと染まってしまった。

すると、もう、ダメ。
このリハビリは、失敗だ。
もとにもどろう。
そして、
最初の低いハードルに戻る。

でも、どこまで繰り返しても
途中でダメになってしまう。

これが、不安階層表を用いた
リハビリがうまく行かない、
典型的なパターンです。

このパターンを何と
ネーミングしましょうか?

全か無かパターン
と言っておきましょう。


・・・

これの
なにがマズいか?

それは、エッジの設定の仕方、
ですね。

エッジ(境界)とは、
自我のゾーンと、
自我ではないゾーンとの
境界、という意味でしたが、

自我ではないゾーンとは、
「今は」自我ではないが、
「広い意味では」、つまり
「成長した後の自分なら」
自我に属する(ことが期待できる)、

そんな自分を、
設定する必要があるのです。

エッジの向こう側に
根源的な不安、そのものを
設定している限り、

そんなもの、
自我に取り込むことは、
そもそも、無理です、
人間には。

だから、延々と
リハビリが失敗する。

だから、
エッジの向こう側に設定すべきは、

根源的な不安、ではなく、
根源的な不安と共生できる自分
とする必要があるのです。

エッジの向こう側が恐ろしいのは、
そこに、
根源的な不安があるから、
ではなく!!、

それと共生できている自分が
想像できない、そんな自分が
恐ろしい、と
設定する必要があるのです。

そして、
リハビリを続ける中で、

根源的な不安と共生できてしまっている、
そんな、今までは信じられなかった自分を
徐々に受け入れ、

自我のゾーンに、
その新しい自分を取り込んでいく、
その、こころの作業が
リハビリの本質になる時、
リハビリは、進みます。

ここ、
死ぬほど、重要です、
微妙な違いですが。

・・・

曝露反応妨害法の
「塩加減」がキツいのは、

この、エッジのキツ目の設定を
強要するから、なのです。

その部分だけを、
B子さんの
不安階層表を用いたリハビリに
上手に応用すると、どうなるか。

エッジの向こう側は、

根源的な不安と共生できている、
その意味では
今の自分からは想像できない、
ゆえにひどく恐ろしい、
そんな自分と設定する。

エッジのこちら側は、
根源的な不安と、とても共生できるとは
思えない、
そんな今の自分と設定する。

エッジの、どちら側も
自分、なんですね。

これが、
曝露反応妨害法から学んで
取り入れるべき
リハビリの設定のコツになります。

このパターンを何と
ネーミングしましょうか?

共生パターン
と言っておきましょう。

・・・

このように設定すると、
リハビリの過程で、
起きたことをどう評価するか、
そのポイントが
全く、違ってきます。

全か無かパターンでは、
根源的な不安が少しでも
頭をもたげたら、
リハビリ失敗、となります。

共生パターンでは、
根源的な不安は、
「そりゃー、でてくるでしょう、
でも、どれだけ共生できているか、
そこがポイントだね」
となります。

前者はほとんど
運任せに近い。

後者は
いかに共生するか、というスキルを、
リハビリを通じて育てて行く、
そこがリハビリの
本質になるわけです。

・・・

ここまで整理がすすむと、
次のポイントは、

根源的な不安と
共生するスキルとは?
となります。

次回は、
今までのシリーズを
総ざらいしつつ、
整理してみましょう。

・・・

根源的な不安に
さいなまれている時、

Do: 
エッジの向こう側には
根源的な不安と共生できている自分を、
こちら側には
そんな自分は想像できないので
死ぬほど恐ろしいと感じている自分を、
それぞれ設定して
リハビリをすすめる。

Don’t: 
エッジの向こう側には
根源的な不安そのものを、
こちら側には
根源的な不安を全く感じなくてすむ自分を、
それぞれ設定して
リハビリに失敗する。

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