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2022/01/24

身体リテラシー入門⑯:不安階層表を活かせ!ー全体の見取り図



さて、身体リテラシーのシリーズ、
今回は第16回目です。

前回はこちら↓

強迫性障害の方の
ドアノブへの不潔恐怖をテーマに、

治療の現場で、実際どのように
葛藤を煽る」のか、
その実際をお伝えしました。

そしてそれが、どのような仕組みで
「効くのか」も見てきました。

でも、
根源的な不安」というテーマから
かなり遠くへ来てしまいました。

このシリーズもそろそろ
終わりに近づきつつありますし、
一旦ここで、
大整理をしてみましょう。

パニック障害で
精神科に通院中の30代、女性、
架空のB子さん
登場してもらいましょう。

・・・

最初の頃のB子さんは
キツいパニック発作で、
外出もままならず、
日常生活にも
大きな支障がありました。

通院を一年続けて、
今では、近所への買い物には
出かけることが
できるようになりました。

でも、入浴した場合や、
少し遠出をした街中で、
不意に、まさに
根源的な不安」に襲われ、

動悸や、
のどが詰まる感覚に
しばらく身動きが取れない、
という状態に陥ることが
まだ、残っています。

そんな時の、B子さんの
鉄板の対策は、
ご主人か、お母さん、
ダメなら、お姉さんに
電話をして安心感をもらって
自分を落ち着かせる
というものです。

さて、このB子さんに対して、
強迫性障害の曝露反応妨害法に似た、
「葛藤をあえて煽る」という
治療を行った場合、
どのような段取りに
なるでしょうか?

あえて、いきなり
遠くて避けていた百貨店に
ショッピングに行き、

そこで発作が起きても
誰にも電話しないで
ただただ、耐える、
ということになります。

これは、
パニック障害の治療としては
スタンダードではありません。

・・・

パニック障害の場合は、
不安階層表」を用いた
行動療法がスタンダードです。

B子さんの場合なら、

入浴の時間も、
短いものから、長いものまで、

外出先なら、
近いものから、遠いものまで、

つまり、
ハードルの低い方から高い方まで、
順々に、「不安階層表」という
表にまとめて、

低い方から
徐々に、高い方へ向かって
リハビリを進めることになります。

発作の時の対策も、いきなり、
家族への電話を禁じるのではなく、

まずは、
使い慣れた頓服の使用を許可し、
できれば、
頓用の前にまずは
呼吸法で対処できるようにし、

最終的にどれもダメなら
家族への電話もOK、と設定する場合が
多いですね。

この、
不安階層表」を用いた
行動療法も、

葛藤を煽ってはいますが、
曝露反応妨害法よりは、
ずいぶん、マイルドです。

この方法が、前回お伝えした、
「塩加減がマシ」な
やり方になります。

・・・

でも、この
「不安階層表」を用いた方法、
うまく行く場合も多いですが、

途中でキツい発作がおきると
ハードルを下げざるを得ず、

また、徐々に
ハードルを上げていっても
また、発作が起きて・・・
同じことの繰り返し・・・
というパターンになる場合も
正直、あります。

じゃあ、
どうすればいいのか?

・・・

そこで、
このシリーズを今回含めて
16回も続けていきた意義が
出てくるわけです。

いままで学んだすべてを、

この「不安階層表」という
リハビリのやり方を
パワーアップさせるために
活用しよう、

ということです。

同じリハビリをするにしても、

どのようなこころ構えで、
どのような準備をして、
そのリハビリに望むか

そして
そのリハビリの結果を
どのように解釈するか

その辺りの捉え方次第で、
結果は変わってきます。

具体的な知識や情報は、
すでにこのシリーズに
含まれています。

それを、
根源的な不安と
付き合えるようになるための
リハビリに、落とし込んでいく、

その取り組みを
残りのこのシリーズで
やっていきましょう。

・・・

ポイントを先走って
整理しておくと、
次のようになります。

リハビリの目的は、
根源的な不安や
それに刺激されたいろいろな症状を
ゼロにすることではなく、

それと共生できる自分になる
ということですね。

まずは、そのような自分が
実現可能なんだと信じることが必要。

そして、
共生できている状態とは、

不快な内受容感覚が発生しても
それで自分が100%占有されてはいない

つまり、他のチャンネルの情報も
同時に自覚できている状態、
ということです。

その、共生のために、
内受容感覚を育てる、
という準備が必要だ
ということになります。

その育てる方法は
かなりの分量を割いて
既にお伝えしているわけです。

そして、リハビリの成果は、
どれだけ、
不安や症状がゼロに近づいたか
ではなく、

どれほど、
その不安や症状と共生できているかで
評価せよ
ということになりますね。

そして、共生を目的にした方が、
結果的、減ります、
不安や症状が。

次回と次々回で、
今挙げたポイントを
補足して、
このシリーズを終了としましょう。

・・・

根源的な不安に
さいなまれている時、

Do: 
「不安階層表」を用いた
行動療法をパワーアップさせれば
根源的な不安と共生できる自分を
育てることができる
可能性があると知る。

Don’t: 
このシリーズの
一回目の内容を思い出せないと
落ちこむ。
※次回以降、簡単な復習も
兼ねますので、ご安心を。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。