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  • 2019.04.29

    相手に対する強い承認欲求の自己コントロール:対人関係療法をヒントに①



    さて、今回も、
    読者の方からの質問に
    お答えします。

    相手に自分のことを
    わかって欲しい…

    特に、異性の場合、
    なおさら、そう思ってしまう。

    それがとても苦しい、
    それを和らげる方法はないか、
    とういご質問です。

    その方は、
    自分の「承認欲求」が
    強すぎる、と訴えておられます。

    承認欲求とは、
    学術用語ではありませんが、
    心理学関連では、
    よく用いられる、便利な用語です。

    英語では、
    approval seeking
    とも言われ、
    相手の承認を求める
    飽くなき渇望、ぐらいの、
    強い言い方になります。

    皆さんは、
    いかがですか?

    相手にどれだけ伝えても
    わかってくれない、
    その不満がぜんぜん、消えない…。

    なぜわかってくれないの!
    その不満をぶつけると、
    一層、相手とのコミュニケーションが
    うまく行かない…、
    悪循環…。

    ・・・

    これを解決するたの方法には、
    どのようなものが
    あるでしょうか?

    一つのヒントは、
    対人関係療法の中にあります。

    一言でまとめると、

    相手への期待を
    下げる。

    むむむ…、
    なんとも身もふたもない
    感じですが…(苦笑)。

    ※対人関係療法とは、
    認知行動療法と並んで、
    精神療法の中で治療効果が
    臨床試験で認められている、
    数少ない技法の一つ。

    ・・・

    相手に求めるレベルが
    いま、100%の場合、

    それを、80%でよしとする、
    あるいは、60%…
    あるいは、45%…、でよしとする、
    ということです。

    それが、できれば、
    相手に対して、

    自分のことを他の人よりは
    少しは、わかってくれているわけだから、
    まあ、いいか…、

    という気分になれて、

    100%を求めて
    もがいていた時よりは、
    苦しみは、少なくてすみます。

    ・・・

    このヒントをお伝えしただけで、
    あ、そうか…
    と自分の認知がシフトして、
    グッと楽に相手と接することができる、
    そんな方も、おられます。

    でも、
    そんなことができたら
    こんなに苦しまないよ!と、
    あまり役に立たない方も、
    おられますね。

    なぜでしょうか?

    それは、
    誰かに承認を求める、
    という欲求が、
    ヒトにとって、とても
    根源的なものだからです。

    ・・・

    この辺りの事情は、
    赤ちゃんの心理的発達を研究する
    幼児心理学の知見から、
    推し量ることができます。

    幼児は、
    自分が興味を持ったものを、
    ほら、これ見て!
    と言わんばかりに、
    お母さんに見せようとします。

    これ、
    承認欲求の原風景、
    ですね。

    この頃の幼児は、
    自分の承認欲求が、
    100%満たされている、
    という感覚を
    味わっているようです。

    この体験は、
    定型的な心理発達のために
    とても重要なステップになります。

    そして、小学校に上がれば、
    テストの答案用紙を持ってきて、
    ほら、これだけがんばったよ!
    と見せようとします。

    でも、

    「いま忙しいから、後にして…」
    とお母さんはバタバタ家事を続ける…、

    すると、
    なーんだ、つまんない…と
    ちょっと、シュンとなる、

    でも、まあいいか…、
    この前のテストは見てくれたから…と、

    あまり気にせずにやりすごす。

    この頃には、
    自分の承認欲求が、
    100%満たされている、
    という感覚は、
    なくなっています。

    ・・・

    このように、成長の過程で、
    自分の承認欲求が、
    100%、満たされることはないが、
    そこそこは、満たされる、
    という体験を積み重ねて、
    ヒトは大人になっていきます。

    いわば、自然に、
    100%をあきらめる、
    つまり、期待を下げる、
    ということを、
    練習しているわけです。

    この、
    「そこそこ」満たされる、
    というあんばいが、
    すごーく、重要です。

    承認欲求が満たされる、
    という体験が不足していると、
    大人になっても、
    100%を求め続けてしまいます。

    逆に、子供の頃に、
    ひたすら、100%、
    満たされ続けていたとしたら、
    それはそれで、
    また、100%を、
    求め続けてしまいます。

    いずれにせよ、
    承認欲求が100%満たされる、
    そんな対人関係は、
    成人後では、現実的ではないので、

    飽くなき承認欲求に
    苦しむことになります。

    ・・・

    だから、
    成人になる過程で
    自然に練習できる場合が多い、
    この、「期待を下げる」
    ということを、

    大人になってから、
    自覚して練習すること…、
    それが、
    対策になるわけです。

    ・・・

    強い承認欲求で
    苦しい時、

    Do:
    相手への期待を下げる、
    という練習を
    自覚して行う。

    Don’t:
    100%の承認欲求の満足を
    求め続ける。

    <補足>
    承認欲求が100%満たされる、
    という幼児期の体験が
    乏しい方の場合、
    セラピストが、
    母の役割を一時的に担って、
    その体験を提供する場合があります。

    それでも、いつかは、
    その「期待を下げる」練習を
    始めるしかありません。

    自分一人で取り組むのが
    大変すぎる場合、
    セラピストと一緒に
    チャレンジすることを
    おすすめします。

    いかがでしたでしょうか?
    同じ悩みをお持ちの方は、
    ぜひ一度、お問い合わせください。
  • 2019.04.08

    あいまいに耐える力とは?③:耐えることの帰結

    さて、前回に続き、
    あいまに耐える力についての
    話題です。

    前回はこちら↓
    あいまいに耐える力とは?②:注意の自己コントロール

    読者の方のご質問に
    お答えするかたちで、

    その力は、
    注意の自己コントロールを
    練習すれば身につくよ、
    とお伝えしました。

    今回も、
    読者の方からの、
    他のご質問にお答えしますね。

    この方は、
    ご自身は療養中ではないが、
    いろいろ悩みを抱えている方の
    サポートをされています。

    ・・・

    ご質問は、

    できる範囲でやったらOK
    ムリなら、やらないのがOK、
    という方針は、
    精神疾患を患っていない方にも
    おすすめできるのでしょうか?

    でした。

    ムリなら、やらないのがOK、
    という部分が、

    療養中の方だから、
    ムリをしない方がよいのだろう…、

    療養中でなければ、
    多少は、ムリした方が
    いいときも、あるのか…?
    という思いが、含まれています。

    皆さん、
    どう思われますか?

    自分の病気が治っていたら、
    もっとムリを、しますか?

    治っていなくても、
    ムリをした方が、
    例えば…、
    自分の病気も早く治ると、
    思いますか?

    ・・・

    ポイントを、
    整理してみましょう。

    まず、
    「耐える」という
    行動の結果は、
    二種類あります。

    一つは、
    より耐えられるように、
    自分の耐久力があがる。

    具体的には、

    不安や恐怖などの感情に、
    耐えられるようになる。

    あるいは、

    注意の自己コントロールが
    上達して、
    あいまいな状況を
    しのげるようになる。

    これを、
    プラスの結果、と
    仮に呼びましょう。

    ・・・

    もう一つは、
    耐えられなくなって、
    何かが壊れ始める。

    例えば、

    病状がひどくなって
    自分の健康が悪化する。

    あるいは、

    耐えるというストレスの
    はけ口を
    相手に求めて、
    その人との対人関係が、
    悪化する。

    あるいは、

    そのはけ口を浪費に求めて
    経済状況が、
    悪化する。

    これを、
    マイナスの結果、と
    仮に呼びましょう。

    ・・・

    つまり、
    あいまいに耐える
    練習をする中で、

    できる範囲でやったらOK、
    ムリなら、やらないのがOK、
    という方針は、

    プラスの結果と
    マイナスの結果とを
    天秤にかけて、

    プラスの結果が上回っているなら
    練習を続ける、

    マイナスの結果が上回っているなら
    練習を中止する、

    という意味になります。

    ・・・

    これ、実は、
    療養中であろうが
    なかろうが、

    もっと言うと、
    「あいまい」に耐える、
    ということに限らず、

    「何か」に耐える、
    という行動を取る時、
    そのすべての場合に言えることですが、

    その、
    プラスかマイナスかを
    判断できるスキルが、

    人間として生存していくために、
    必須のスキルです。

    だから、
    療養中の如何を問わず、
    すべての人間に、
    適用できる、と言えます。

    ・・・

    残念ながら、
    このスキルが乏しい方が、
    すごく、多いです…。

    耐えられる、と思って
    耐え続けるが、

    どんどん、
    自分の何かが破壊されていく。

    でも、
    それに全く気づかず、
    耐え続けようとする…。

    あるいは、

    耐えられない、と思って、
    チャレンジを諦めているが、

    そうすればする程、
    チャンスを逃し、
    ますます、
    チャレンジをすることが恐くなり、
    耐久力が衰えていく…。

    ・・・

    あいまいに耐える力をつけるには、

    Do:
    耐えることの
    プラスとマイナスを
    精確に判断できるスキルを
    セットで身に付ける。

    Don’t:
    その判断を誤ってしまうことは
    誰しもあるが、
    その失敗から学ばす、
    同じ判断ミスを繰り返す。

    いかがでしたでしょうか?
    同じ悩みをお持ちの方は、
    ぜひ一度、お問い合わせください。
  • 2019.04.01

    あいまいに耐える力とは?②

    さて、
    前回のメルマガについて
    読者の方からご質問を頂いています。

    今回から数回にわたって、
    お答えしようと思います。

    前回は、こちら↓
    あいまいに耐える力とは?

    受験生Aさんの、
    抑うつ状態をかかえながらの
    受験勉強のやり方をご紹介しました。

    ・できる範囲でやる
    ・ムリ!と思ったらやらない

    という方針に沿った、
    結果がでるかどうか、
    すごーくあいまいな
    受験勉強でしたが、

    そのプロセスが、きっと、
    あいまいに耐える力をつけ、
    今後の人生に役に立つんだと
    信じながらの日々でした。

    ・・・

    ご質問の一つは、

    あいまいに耐えるとは、
    慣れれば自然にできるものか?

    でした。

    皆さんは、
    どう思われますか?

    その読者の方は、
    自分には完璧主義があるので
    あいまいに耐えることが
    すごく居心地が悪い、とも。

    この、居心地の悪さ
    という表現は、
    すごく、ピッタリだと思います。

    こうあるべきだ、
    という考えをもっているのに、

    それとかみ合わない現実が
    目の前にある。

    それは、言ってみれば、
    「脳が」居心地が悪い、
    という感覚に近いでしょう。

    また、この、居心地の悪さは、
    時には、イライラにつながり、
    時には、不安につながります。

    「こころ(感情)」も
    居心地が悪いわけです。

    ・・・

    でも、
    この居心地の悪さに、
    慣れることは、できます。

    慣れれば、苦もなく、
    自然にできるように、なります。

    どうやって?

    一つの例えを
    お伝えしますね。

    ・・・

    毎日使っている、
    自分の机を、
    想像してみてください。

    その日にやらないといけない書類が、
    今日も、いっぱい、
    置いてある。

    かたっぱしから
    やっつけよう。

    でも、実は、その机の端に、
    先週からずっと、
    結論がでないために
    片付けられない、
    一つの書類が、置いてある。

    ついつい、手を止めて、
    その書類を
    うらめしそうに、眺めてしまう。

    あー、もー、
    さっさと結論を出したいのに、
    あー、イライラする…。

    でも、先方の返事がこないと
    こちらとしては、もう、
    どうすることもできない、
    待つしかない…、
    それも、頭では、わかっているが…
    イライラ…イライラ…。

    今日、やるべき書類を
    やりながらも、
    たびたび、視線をその書類に
    送ってしまう…。

    今日の書類をやっては、
    その書類に目をやり、
    …その繰り返し…。

    これが、居心地の悪さの
    原風景、ですね。

    ・・・

    どうすれば、
    この居心地の悪さから
    脱出できる?

    答えは、単純です。

    自分の注意を向ける対象を、
    自分でコントロールできればよい。

    具体的には、
    まず、
    今日の書類に注意を向け、
    それに集中して取り組む。

    その一方、
    一日に何回か、タイミングを決めて、
    先方の返事が来ているか、
    チェックする。
    その時だけ、
    その書類に注意を向けるわけです。

    そのコントロールができれば、
    解決します。

    そして、
    この注意の自己コントロールは
    練習で、上達します。

    練習するか、しないか、
    それだけ、です。

    ・・・

    Aさんは、
    その練習をしたわけです。

    体調が悪くて、
    模試の復習が
    まだできない時は、

    机の端に、
    模試とその解答集を
    積んでおくだけ。

    今日は、行けるぞ、
    と判断したと時に、
    手にとる。

    それ以外は、
    机の端に置いてはおくが、
    淡々と、
    今日の勉強をするだけ。

    その注意の自己コントロールを
    練習しただけ。

    ・・・

    あいまいに耐える力をつけるには、

    Do:
    注意の自己コントロールの
    練習をする。

    Don’t:
    3日やっても
    できないからと言って
    あきらめる。

    いかがでしたでしょうか?
    同じ悩みをお持ちの方は、
    ぜひ一度、お問い合わせください。

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  • 2019.03.25

    あいまいに耐える力とは?


    受験シーズンも
    大詰めになってきていますね。
    ※メルマガ発行日:H31/3/18

    先日、
    医学部合格を目指している
    患者さんの診察がありました。

    その日、
    結果の報告があるだろうと、
    わかっていました。

    体調が万全ではない中、
    なんとかしのいでやってきた、
    そんな一年だったので、

    正直、小椋は、
    合格できなかったとしても、
    致し方ないよな…
    という気分でした。

    でも、
    結果は見事、合格。

    おー、おめでとうー。

    療養生活のどこがよかったか、
    また、
    今後、診療をどうするか、
    そんな相談で、
    その診察は終わりました。

    ・・・

    その方の、
    受験勉強をしながらの
    療養生活には、

    読者の皆さんに
    役に立つヒントが満載なので、

    ご本人の了承を得ていますので、
    (仮名:Aさんとしましょう)

    今回は、
    Aさんの療養生活を、
    個人情報に配慮したかたちで
    シェアしたいと思います。

    ・・・

    Aさんは、20代女性。
    医学部受験のチャレンジは
    今回で、複数回になります。

    去年の3月、
    再チャレンジを決めたものの、
    もう、
    こころは折れていました。

    何のために、
    こんなことやっているんだろう…

    何のために
    医者になるんだろう…

    いつまで、
    続くんだろう…

    ・・・

    受験勉強のエンジンを
    ガンガンかけないといけない
    ゴールデンウィークに、

    まったく、勉強が
    手につかない。

    周囲はどんどん、
    勉強していく。

    なんだか、みんな、
    元気そう…

    どうしようもうない、
    孤独…。

    どんどん出てくる、
    不安とあせり

    もう一年やっても、
    ダメだったら、どうしよう…。
    もう、ダメなんじゃないか…。
    両親にも申し訳ない…。
    自分、向いていないんだ…、
    きっと…医者に…。
    でも、また、模試が来る…、
    本当は、今日までに、
    これ、やっとかないと…。
    でも、
    何もできてない…。
    頭が、ぜんぜん、働かない。
    テキスト、手にとるエネルギーがない。
    どうする?
    どうしよう?
    あー、イライラする!
    もう、こころが真っ黒。
    寝ればいいのに、
    スマホでコチョコチョ…
    変に頭が冴えてる?
    …消えた方が…
    死んだほうが…
    楽だよね…。

    そんな中での、
    初診でした。

    ・・・

    その診察では、
    この、頭が働かない、
    という状態が、

    脳というコンピュータが
    機能低下した状態、
    つまり、
    抑うつ状態であることをお伝えし、

    自分にムチを打っても
    悪化するだけなので、逆に

    二週間、
    一旦、全く勉強から離れる、
    それを自分に許すことを
    提案しました。

    で、
    混乱と不安とあせりは、
    ちょっと、よくなりました。

    でも、
    頭が働かない感じ、
    勉強が手につかない感じは、
    残っていました。

    以後、
    次のようなシンプルな方針で
    勉強に取り組むことにしました。

    ・できる範囲でやる
    ・ムリ!と思ったらやらない

    ・・・

    外来では、
    おとといは、ここまでやったが、
    昨日は、もうムリと思って寝た、
    でも、今日はまた、勉強ちょっとできた…
    などの報告を聞きながら、

    Aさんが、
    そのシンプルな方針を
    体得するサポートを続けました。

    キャッチフレーズは、
    あいまいに耐える」。

    受験勉強を、
    完全に放棄するわけでもない、
    かといって、
    理想をめざすわけでもない、
    そんなやり方で
    結果がでるかどうかも不明な、

    すごーく、
    グレーで、あいまいな、
    受験勉強。

    でも、その
    「あいまいに耐える」力が、
    これからの人生に、
    ものすごーく、役に立つよ、
    とアドバイスを続けました。

    ※なぜ、それが役に立つかは、
    編集後記で。

    ・・・

    その結果、秋頃には、
    自分なりのペースを身に付けて、
    長時間の模試でも、
    途中で退席せず、
    最後までできるようになりました。

    先生、模試、やりきったよ、
    などの報告がある中で、
    Aさんの特徴は、
    でも、参加するだけでは
    意味、ないよね…
    などの、ネガティブなコメントが
    なかったこと。

    だって、
    あの、シンプルな方針では、
    できる範囲でやったらOKで、
    ムリなら、やらないのがOK、
    だったから、
    ネガティブなコメントは、
    発生する余地がない。

    思い返せば、
    その頃以降、
    落ちたらどうしよう…だの、
    こんな少ない勉強時間だとムリだ…、
    などの発言は、
    一切、ありませんでしたね。

    ・・・

    この時点で、
    Aさんは、
    既に大きな学びを
    得ています。

    合格は、
    その学びの結果に付いてきたもの、
    というぐらいの印象です。

    その学びのポイントを、
    整理してみましょう。

    整理には、
    既にこのメルマガでおなじみの、
    ヒトの4つの機能、という考え方が
    役に立ちます。こちら↓
    習慣を変えるには:行動を変えるだけではダメな理由

    ・・・

    脳が抑うつ状態になると、
    考える」が低下します。

    低下しているのに、
    未来の受験の合否の結果や
    自分の医師としての適性など、

    すぐに答えがでないことについて、
    あーだこーだと、考え続けると、

    結局、
    不安とあせりとイライラが
    膨れ上がります。

    感じる」が暴走するわけです。
    すると、
    脳はさらに疲れて、
    「考える」はさらに低下します。

    最初の2週間の休養は、
    この悪循環をバッサリ断つ、
    そのきっかけになりました。

    同時に、
    自分の脳は、通常の状態ではない、
    その事実を、
    いやいやながらも、受け入れる、
    そんなきっかけにも、
    なっています。

    悪循環を断つことと、
    その事実の受容がなければ、
    「シンプルな方針」に従うことは、
    できなかったでしょう。

    ・・・

    シンプルな方針に
    従うことができた時、
    Aさんの4つの機能は、
    次のような状態に、
    なっていました。

    信じる」について。

    もはや、
    絶対に合格できる、だの、
    私は医者になる運命だ、だの、
    パワフルなイメージを
    信じては、いません。

    ただ、
    先生が言っている、
    「あいまいに耐える」、
    それが、自分にとって意味がある、
    そう、信じることが、
    できている。

    考える」について。

    ・できる範囲でやる
    ・ムリ!と思ったらやらない

    その方針を実行する時に必要な、
    できるか?ムリか?という判断、

    それを、
    自分のこころとからだに
    静かに聞いて、
    判断する。

    それ以外のことは
    「考えない」。

    感じる」について。

    こんな「あいまい」な日々だと、
    当然、不安・あせり・イライラは
    出てくる。

    でも、それは、仕方がない。
    そういうものだ。
    そして、それに「耐える」自分をつくる、
    それに意味がある。

    動く」について。

    シンプルな方針に従って、
    「考える」が
    勉強、ゴー、とサインを出せば、
    淡々と、やる。

    「考える」が
    今日は、ストップ、とサインを出せば、
    淡々と、休む。
    以上…、
    という感じで、実行する。

    ・・・

    皆さんは、
    Aさんの、
    この療養生活を知って、
    どんな印象を持たれましたか?

    これ、確かに、
    言うはやすし、
    行うは難し、の典型では、
    あります。

    でも、やりがいは、
    あります。

    このメルマガで紹介してきた、
    感情リテラシー、
    認知リテラシー、そして
    スピリチュアルリテラシー、
    そのすべてが総合されて、
    実践されています。

    ・・・

    さて、
    感情リテラシー、
    認知リテラシー、
    スピリチュアルリテラシーの
    具体的な実践が
    よくイメージできない時、

    Do:
    Aさんの例を知り、
    自分に置き換えて、
    実践できる部分はないか、
    探してみる。

    Don’t:
    過程ではなく、
    結果にすべての価値を置き、
    Aさんの例も、
    合格したから意味がある、
    と解釈してしまう。

    <編集後記>
    あいまいに耐える力が、
    なぜ、人生に役にたつのか?

    それは、
    その力を持っていると、

    不安やイライラに耐え、
    マイナス思考に
    陥らずにすむからです。

    もっと言うと、
    精神疾患にならずにすむ、
    あるいは、
    なっても、回復しやすい、
    とすら、言えます。

    発作がおきるかどうか、
    未来はあいまい…、
    それに耐えられない
    パニック障害の方の予期不安も、
    軽減されます。

    相手が自分に悪意があるかどうか、
    相手のことは結局、あいまい…、
    それに耐えられない
    統合失調症の方の被害妄想も、
    ひどくならずにすみます。

    ・・・

    いかがでしたでしょうか?
    同じ悩みをお持ちの方は、
    ぜひ一度、お問い合わせください。

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  • 2019.03.04

    睡眠リズムを概日リズムから整えよう⑦:食事のタイミングを気にしてますか?


    さて、今回も、
    睡眠リズムを整えるテーマが続きます。

    前回は、こちら↓
    睡眠リズムを概日リズムから整えよう⑥:インターバル速歩のすすめ

    概日リズムを整える
    同調因子としての、
    運動についての話題でした。

    今回は、
    食事について整理しましょう。

    ・・・

    概日リズムと食事との関係は、
    近年、「時間栄養学」という学問として
    研究がすごーく盛り上がっています。

    「何を」食べるか、だけでなく
    一日の中で「いつ」食べるかが、
    大きな影響を持つのです。

    例えば、
    同じカロリーのの食事でも、
    夜に摂った方が、
    日中に摂るよりも、
    体重増加につながりやすい、
    という結果を示す研究があります。

    これら、
    時間栄養学の知見を踏まえ、
    2017年、アメリカ心臓協会(AHA)は、
    次のような提案をしています。

    一日のカロリー摂取量の
    多くの部分を、
    日中、早めに摂取した方がよい。
    その方が、
    心疾患や糖尿病に、
    よい影響を与える。

    また、
    夜間、食事をとらない時間を
    確保すべきだ、とも。

    ・・・

    さて、成人病の予防に
    新たな視点を提供している
    「時間栄養学」ですが、

    その成果を、
    私たちPSMは、
    どのように精神疾患の療養生活に
    取り入れたらよいでしょうか?

    結論を先にお伝えすると、
    実は、
    先ほどのAHAの提案と、
    同じになります。

    ただし、残念ながら、
    時間栄養学にもとづいた
    食事の摂り方が、
    精神疾患によい影響を与えた、
    ということを
    直接示した研究論文は、
    いまだ、ありません。

    でも、しょうがないですね、
    だって、やっと内科領域で
    認められ始めたわけですから。

    今後の研究に
    期待しましょう。

    と同時に、AHAの提案が、
    概日リズムを整えることに
    貢献することは、
    間違いありません。

    それを根拠に、
    私たちも、時間栄養学を
    療養生活に取り入れてみましょう。

    ・・・

    AHAの提案、
    つまり
    日中にしっかり食べる
    夜中は食べない

    このことが、なぜ、
    概日リズムを整えることに
    なるのでしょうか?

    逆に言うと、
    夜中にいっぱい食べる、または、
    一日中、ダラダラ食べる

    このことが、なぜ、
    概日リズムを
    乱すのでしょうか?

    ・・・

    この説明には、
    このシリーズの1回目、
    「中枢の体内時計」と
    「末梢の体内時計」のお話を
    思い出していただく必要があります。

    こちら↓
    睡眠リズムを概日リズムから整えよう①:概日リズムとは

    中枢の体内時計」とは、
    脳の視床下部の視交叉上核の
    神経細胞群でしたね。

    一方、
    末梢の体内時計」とは、
    からだのいろんな組織や臓器、
    それぞれが持っている、
    いわば自前の、体内時計でした。

    そして
    (1回目の記事をそのまま引用すると)

    中枢の体内時計の発するリズムに、
    末梢の体内時計がしっかり応じて、
    最大限のメリハリでもって、
    概日リズムが刻まれている、
    とのとき、
    ぶらんこは、元気一杯、
    青空をめざしてスイングしている、

    ということでしたね。

    ・・・

    では、
    食事がテーマの今回、
    この「末梢の体内時計」とは、
    具体的に、何のことでしょうか?

    それは、

    食事を消化する、
    胃や、
    小腸・大腸などの消化管。

    そして、消化した結果の
    エネルギー源としてのブドウ糖を、
    貯蔵したり、
    必要時に再び放出する、
    肝臓や、
    脂肪組織に含まれる脂肪細胞。

    この記事では、
    これらの臓器や組織を、
    消化系システム」と
    仮に呼びましょう。

    つまり、ここで話題にする
    「末梢の体内時計」とは、
    この「消化系システム」の持つ
    体内時計、ということですね。

    そして、
    この消化系システムの
    強力な同調因子が、
    食事、なのです。

    ある意味、当然です。
    食べ物が消化管に入ると、
    この消化系システムが、
    全力で働き始める必要が
    あるからです。

    ・・・

    さて、
    前置きはここまでです(苦笑)。

    AHAの提案にもどりましょう。

    なぜ、
    日中にしっかり食べ、
    夜中に食べないと、
    概日リズムが整うのか。

    また、なぜ、
    夜中にいっぱい食べる、または、
    一日中、ダラダラ食べると、
    概日リズムが乱れるのか。

    答えは、

    前者では、
    中枢の体内時計と
    消化系システムの体内時計が
    調和しているが、

    後者では、
    大きくズレているから。

    消化系システムが持つ特徴を、
    三つに整理しつつ、
    解説してみますね。

    ・・・

    一つ目。

    消化系システムは、
    「中枢の体内時計」と
    ガッチリ連動した時、
    効果的に機能します。

    中枢の体内時計が、
    「昼だよ」と
    信号を出している間の方が、

    日中の活動量の増大に対応すべく、
    十分な量のブドウ糖を
    血中に放出することができます。

    逆に「夜間」は、
    血中のブドウ糖を
    脂肪細胞などに「貯蔵」するモードに
    切り替わります。

    この夜間に、
    大量の食事が摂取されると、
    どうなる?

    ブドウ糖は活動に使われることなく、
    ひたすら、貯蔵されるのです。

    ここが、
    成人病に悪影響を与えるポイントです。

    また、
    朝食や昼食を抜くと、
    日中、低血糖となり、
    パフォーマンスは、落ちます。
    加えて、結局、夜、
    反動で過食することにもなります。

    つまり、
    日中に活動し、
    そのエネルギーは日中でまかなう、
    そのように、
    中枢の体内時計と、
    消化系システムの体内時計は、
    デザインされているのです。

    ・・・

    二つ目。

    消化系システムは、
    同調因子である
    食事の影響を大きく受けて、
    体内時計を
    調整することができます。

    食事を摂る時間が習慣化して、
    一日の決まった時間に
    食事の刺激が入るようになると、

    その時間に合わせて、
    強烈に食欲を増進させることが、
    できるのです(すごい…)。

    その体内時計の実体は、

    日中に血中濃度が上昇し、
    食欲を増進させるが、
    食事が入ると血中濃度が低下する、
    グレリンというホルモンや、

    その真逆の作用の
    レプチンというホルモンです。

    その両者の繊細なバランスで
    一日の食欲が
    コントロールされています。

    だから、
    朝食や昼食を
    しっかりとる習慣を続けると、
    その時間帯に
    強い食欲が生じるようになり、
    逆に、夜間は、
    食べなくても平気になります。

    でも、
    夕食でほとんどのカロリーを
    まかなうような習慣になると…。

    そこで、最強の食欲が
    生じるように、
    体内時計が「プログラム」
    されてしまいます、
    こわい…。

    また、
    なんとなくダラダラ、
    間食などもついつい手にとりながらの
    食生活になると、
    消化系システムが、
    レプチンに反応しなくなっていきます。

    レプチンは
    もう満腹だよ、というサインなのですが、
    その歯止めがきかず、
    食欲がダラダラ続くのです。

    要は、
    日中に食欲のピークが来るように、
    食生活を整え、
    中枢の体内時計が示す概日リズムと、
    消化系システムのリズムが
    メリハリをもってシンクロする、
    ということが理想ですね。

    ・・・

    三つ目。

    消化系システムは、
    食事の刺激を受けて、
    核温と、
    心拍数を
    上昇させる作用があります。

    まるで、運動の機能に近いですね。
    ある意味、
    「消化管の運動」と解釈しても
    よいでしょう。

    だから、日中に、
    消化系システムがしっかり活動する、
    つまり、食事をしっかりとると、
    概日リズムを増強させることが、
    できるわけす。

    でも、逆に、
    食事の刺激が
    夜間に入ると、どうなるでしょう?

    このシリーズに
    お付き合いいただいた読者の方なら、
    おわかりと思います。

    入眠を妨げますね。

    ただし、
    副交感神経が優位になり、
    リラックスするという勢いが
    上回るなら、
    入眠を促す場合も、
    あるでしょう。

    でも、夕食や夜食は、
    消化系システムを
    一晩中、活動させることになります。

    消化系システムにも、
    休息時間が、必要なのです。

    だから、消化系システムの
    最大の活動は
    日中で終えておくことが望ましい、
    ということになります。

    ・・・

    さて、
    睡眠リズムが整わない時、

    Do:
    日中にしっかり食べ、
    夜中は食べない。

    Don’t:
    夜中にいっぱい食べる、
    または、
    一日中、ダラダラ食べる。

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  • 2019.02.24

    睡眠リズムを概日リズムから整えよう⑥:インターバル速歩のすすめ


    さて、今回も、
    睡眠リズムを整えるテーマが続きます。

    前回は、こちら↓
    睡眠リズムを概日リズムから整えよう⑤:体温のコントロール

    運動や入浴を通じて、
    核温をコントロールする話題でした。

    今回は、
    運動、そのものについて、
    注目してみましょう。

    ・・・

    同調因子、という用語、
    覚えてますか?

    このシリーズの初回の記事から、
    以下、再掲しますね。

    ・・・

    中枢の体内時計を
    リセットする刺激を、
    ツァィトゲーバー(zeitgeber:同調因子)
    と言います。
    ※「時間を与えるもの」の意。

    ・・・

    この同調因子として、
    今のところ、
    光と、
    温度(核温)を、扱ってきました。

    運動の刺激も、
    この同調因子の一つです。

    実際、
    次のような実験があります。

    被験者を、
    外界の光から遮断して、
    薄明かりの施設の中で、
    15日間、滞在させます。

    強制的に、
    一日を23時間40分として、
    生活させます。

    ※各自の体内時計より、
    生活リズムが、どんどん、
    前倒しになるわけです。

    その中で、
    日中、運動をした者と
    しない者とを比較すると、

    前者の方が、圧倒的に、
    概日リズムの周期が、
    前倒しになっていた。

    ※メラトニンの周期が
    前倒しになっていたことで、
    わかります。

    つまり、
    運動をした者の方が、
    要求される生活リズムに、
    自分の概日リズムを
    容易に合わせることができていた。

    ちなみに、運動とは、
    一回、二時間のフィットネスバイクを、
    日中に、2回…。
    (けっこう、ハード)

    これは、
    運動が同調因子であることの、
    明確な証拠に、
    なりますね。

    ・・・

    ポイントは、

    運動すると、
    何が起きて、
    そんなにまで、
    概日リズムが修正されるのか。

    そして、

    そんなキツい運動じゃないと
    ダメなのか…
    でしょうね。

    一つずつ、
    整理してみましょう。

    ・・・

    まず、
    何が起きているのか。

    運動すると、
    核温が上るから。
    (前回の内容)

    確かに、それは、
    運動が、
    概日リズムを修正するメカニズムの、
    一つのようです。

    でも、それよりも、
    もっと繊細なことが、
    同時に、起きているようです。

    運動するって、結局、
    筋肉がエネルギーを消費して、
    グッと収縮する、
    ということをやっているわけですが、

    そのエネルギーの調達の仕方として、
    二種類、あります。

    一つは、
    酸素が使える状況で、
    効率的に調達する方法。
    好気的代謝:こうきてきたいしゃ)

    ゆったりした呼吸のままで、
    できる運動の時は、
    こっちで調達されます。

    もう一つは、
    酸素が使えない状況でも、
    なんとか調達する方法。
    嫌気的代謝:けんきてきたいしゃ)

    ハアハア、呼吸が追いつかない、
    (筋肉への酸素の供給が追いつかない)
    ハードな運動の場合は、
    こっちで調達されます。

    ハードな運動をすると、
    筋肉の細胞が、
    一斉に、
    嫌気的代謝に切り替わります。

    その変化が、
    同調因子になっている、
    …らしいのです、
    最新の研究では。

    ・・・

    人類の歴史では、
    ハードな運動とは、
    まずは、
    日中の狩猟、
    だったはずです。

    短時間でも、
    全力疾走で追う。
    (あるいは、逃げる…)

    その時、
    筋肉の細胞で起きる、
    嫌気的代謝への変化が、

    全身に、
    「起きろ!」
    というサインを送り、

    概日リズムを一気に、
    日中の覚醒モードにして、
    他の臓器も、
    それに呼応する、
    ということが、
    起きているようです。

    ・・・

    このメカニズムは、実は、

    どんな運動をすれば、
    概日リズムの修正に有効か、

    その問いに、
    ヒントを与えてくれます。

    好気的代謝でできる運動を
    ダラダラやるよりも、

    短時間でも、
    嫌気的代謝が生じるような
    (ちょっと)ハードな運動を
    やったほうが、
    同調因子になるぞ、
    というわけです。

    でも、
    外出もままならない
    PSMの方に、
    ハードな運動をせよ!とは、
    なかなか、言いにくいです。

    そこで、提案は、
    インターバル速歩
    ですね。

    ・・・

    3分間、
    息がちょっとあがるぐらい、
    大股でグングン歩いて、
    (ここが、速歩)

    3分間は、
    ふつうに歩く。

    その繰り返しで、
    速歩が一日、合計15分ぐらいでOK。

    ※インターバル速歩:
    信州大学の能勢教授が開発。
    サイトはこちら↓
    http://www.jtrc.or.jp/interval/

    運動量が少ないPSMの方は、
    速歩、一日、3分だけでも、
    まずは、
    始めてみるとよいと思います。

    ・・・

    さて、
    睡眠リズムが整わない時、

    Do:
    インターバル速歩を
    取り入れてみる。

    Don’t:
    一回だけの運動で、
    リズムが立て直せると早合点する、
    あるいは、
    がんばりすぎて
    体調を悪化させる。

     

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  • 2019.02.17

    睡眠リズムを概日リズムから整えよう⑤:体温のコントロール


    さて、今回も、
    睡眠リズムを整えるテーマが続きます。

    前回は、こちら↓
    睡眠リズムを概日リズムから整えよう④:光のコントロール

    日光や、
    ブルーライトとの
    付き合い方をお伝えしました。

    今回は、
    体温のコントロールについて
    整理してみましょう。

    ・・・

    体温って、ふつう、
    脇の下に体温計をはさんで測る、
    皮膚の温度のことを
    言いますね。

    これは、体表温と言い、
    外界の温度の影響を
    大きく受けます。

    一方、からだの中の、
    内臓などの体温は、
    核温(深部体温)と言います。

    外界の温度の影響を
    あまり受けないかわりに、
    概日リズムの影響は
    もろに受けています。

    核温は、
    夜中の4:30頃、
    一日の中で一番、低くなって、
    36.5℃ぐらいになります。

    その後、徐々に上昇し、
    前回、お伝えした、
    朝、網膜に光の刺激が入ると
    さらに上昇します。

    そして、
    夕方の18:30頃、
    一日の中で一番、高くなり、
    37.5℃ぐらになります。

    その後、また
    徐々に下がっていく。

    核温は、
    こんな調子で、
    概日リズムに従っています。

    そして、
    睡眠リズムにも、
    直結しています。

    核温がしっかり上昇すると、
    寝覚めはよく、

    核温がしっかり下がると、
    寝付きがよい。

    この核温を、
    しっかりスイングさせるには、
    どうしたらいいでしょうか?

    ・・・

    まず、核温を上げるには、
    どうしたらよいでしょうか?

    すでに、答えの一つは
    お伝え済みですね。

    朝、日光を浴びる
    ということした。

    では、他にあるか?

    てっとり早いのは、
    運動すること、です。

    え〜、メンドウ…
    そんな声が聞こえてきそうです。

    でも、心拍数が上がるだけでも
    核温は上昇するようです。

    だから、
    そんなに、何十分もジョギングせずとも、
    息がちょっと上るぐらいの、
    階段の上り降りでも、
    刺激になります。

    その刺激を、
    一日の早めの時間に入れると、
    核温の立ち上がりがよくなります。

    ・・・

    逆に、
    あまり夜遅くに
    運動をすると、
    核温が下がりにくくなり、
    寝付きを悪くします。

    このあたりは、
    注意が必要です。

    PSMの皆さんは、
    どうしても、
    午後から調子が上る方が、多い。

    運動はした方がいいよね、と
    夜中の20時から散歩を30分、
    がんばったりすると、
    逆に寝付けず、
    なんで、運動したのに…、
    と残念な結果になります。

    核温は、おおよそ、
    18:30以降、下降していくので、
    それ以降、
    核温を上げる運動は、
    控えた方が、いいだろう、
    という提案になります。

    ・・・

    ただ、これも、
    人それぞれです。

    運動後のリラックスした状態が、
    核温なんか関係なく、
    自分を眠りに誘うなら、
    夜の運動も、ありでしょう。

    しかし、夜中、
    どうしても一回、目が覚めてしまう、
    などの不具合がある場合、
    核温が十分、下がっていないから、
    かもしれません。

    なかなか、
    ややこしいですね。

    ・・・

    もう一つ、
    核温を調整する方法があります。

    入浴、ですね。

    これは、体表温を
    上げることになるわけですが、
    それが目的ではなく、
    ポイントは、湯上がりにあります。

    ぽかぽかした皮膚は、
    末梢血管が開いて、
    血流が増えます。

    すると、その血流を通じて、
    からだの中の熱を、どんどん、
    皮膚から放出しようとします。

    結果、
    体表温は下がり、
    ついでに、
    核温も、下がります。

    入浴した後、
    2〜3時間で、
    核温は下がるようです。

    下がると、
    寝付きがよくなります。

    だから、
    ベッドに入る
    2〜3時間前に入浴し、

    核温が下がり始めた頃に
    ベッドに入ると、
    寝付きがよいわけです。

    逆に、
    湯上がり直後は、
    核温が上がっている可能性があり、
    その状態でベッドに入っても、
    寝付けない、
    ということが、あり得ます。

    ・・・

    さて、
    睡眠リズムが整わない時、

    Do:
    運動の刺激を利用して
    日中は核温を上げ、
    入浴をうまく活用して
    寝る前の核温を下げる。

    Don’t:
    核温の変化をイメージせず、
    運動や入浴を行う。

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  • 2019.02.11

    睡眠リズムを概日リズムから整えよう④:光のコントロール


    さて、今回も、
    睡眠リズムを整えるテーマが続きます。

    前回は、こちら↓
    睡眠リズムを概日リズムから整えよう③:あなたのクロノタイプ(睡眠の型)は?

    自分の睡眠の型(クロノタイプ)と、
    それを崩してしまう、

    社会的時差ボケ、
    精神疾患による症状、そして
    睡眠後退について、
    その対策もふくめて
    考えてみました。

    今回は、いよいよ、
    概日リズムを整えるための
    具体的な方法、まずは、
    「光」についてのお話です。

    ・・・

    このシリーズの初回で、
    「中枢の体内時計」について
    お伝えしました。

    覚えておられますか?

    脳の視床下部の、
    視交叉上核、という神経細胞群が
    その実体でした。

    そこが
    概日リズムを「発信」し、
    全身の細胞が「受信」する。

    その、中枢の体内時計を
    リセットするための、
    最大の刺激が
    「光」なのです。

    もっと言うと、
    ブルーライト、ですね。

    目に見える光の中で、
    波長が短いものです。

    太陽光には、
    いろいろな波長のものが、
    おおよそまんべんなく
    含まれています。

    でも、パソコンやスマホなどの
    液晶画面の光は、
    ブルーライトです。

    逆に、
    電球(白熱灯)は、
    波長が長め(暖色系)ですね、

    そのブルーライトが
    目の網膜に届くと、

    それに刺激されて、
    網膜に並んでいる、
    ある、特殊な細胞が、活性化します。

    視覚をつくる、
    よく知られた視細胞とは別に、
    近年、発見されて
    研究が活発になっている、

    光感受性網膜神経節細胞
    photosensitive retinal ganglion cell
    (pRGC)という細胞です。
    ※こんな名前、覚えなくていいです!
    ※第三の視細胞、とも言われています。

    この細胞からの信号が、
    視交叉上核に送られて、
    中枢の体内時計が
    リセットされるのです。

    ・・・

    この細胞の信号には、
    それだけではなく、

    心拍数を上げたり、
    深部体温(内臓の体温)を上げたり、

    メラトニンというホルモンの
    血中濃度を急激に下げる、などの
    直接の作用もあるようです。

    心拍数や深部体温を上げるとは、
    まさに、
    これから動くぞ!
    からだのエンジンを入れる感じですね。

    メラトニンは、
    脳の松果体(しょうかたい)という部位で
    産生されるホルモンですが、

    中枢の体内時計に従って、
    夜中の2〜3時頃に、
    一番、血中濃度が上昇し、
    明け方に向かって減少します。

    睡眠リズムに
    とても大きな影響を持っています。

    そのメラトニンが、
    その細胞(pRGC)からの信号で、
    ストンと減少します。

    まるで、
    夜が終わったぞ!
    と号令がかかる感じです。

    いかがでしょうか?

    朝、網膜に光を入れて、
    pRGCを刺激することが、

    どれほど、
    概日リズムというぶらんこを
    しっかりスイングさせるために
    重要か、おわかり頂けると思います。

    ・・・

    でも、実際には、
    どんな光を
    どんな時間に、
    どれくらい浴びればよいのか?

    それ、知りたいですよね。
    そこで、
    一つの研究をご紹介しましょう。

    8人の都市生活者を一週間、
    夏のロッキー山脈でキャンプさせると、
    睡眠リズムがすごく改善した、
    という研究です。

    キャンプの前は、みんな、
    0:30頃にねて
    8:00頃に目覚ましで起きて、

    日中はビルの中で仕事をし
    夜になっても蛍光灯をつけて
    パソコンやTVに向かってる、
    そんな生活でした。

    それが、キャンプに入ると、
    一変します。

    朝日が登れば、
    そのまま日中、ずっと日光を浴び、
    日が沈むと、
    ランタンと、たき火の明かりだけ
    (携帯、パソコンなし!)
    という生活です。

    その結果、みんな
    22:30頃に寝るようになり、

    目覚ましがなくても、
    日の出とともに
    起きるようになりました。

    そして、なんと、
    メラトニンの血中濃度の
    ピークを示す時間が、
    2時間も早くなった。

    脳とからだが
    「夜」と認識している時間帯が
    2時間、前倒しにできた、
    という意味になりますね。

    そして、都市で生活しているよりも、
    日光を浴びる量が、
    4倍になっていた。

    実は、
    日照時間が一番短い、
    日差しも弱い、
    冬に実験しても、
    結果は同じだった。

    ・・・

    もちろん、みなさんに
    キャンプに行こう!
    と呼びかけているのでは
    ないです。

    この研究からわかる、
    概日リズムを整えるためのコツ、
    特に、光に関するものを、
    少しでも現状の生活に
    取り入れよう、ということですね。

    まずは、やはり、
    朝、日光を、
    網膜に入れよう、
    ということになります。

    日光には十分な
    ブルーライトが含まれています。

    ベランダなどの屋外に出る、
    がベストでしょうが、
    カーテンを開けるだけでも、
    違います。
    また、雨の日であっても、
    意味はあります。

    その時間帯ですが、
    当然、早い時間帯ほど、
    概日リズムを
    前倒しに、しやすくはなります。

    でも、
    日中、日光を浴びる、
    その総量も、
    関係してきます。

    だから、
    がんばって7時に起きて、
    カーテンを開けても、
    すぐに二度寝をして、
    12時に起きたとしたら、
    その努力の結果は、
    期待はずれになりそうです。

    起きた後、そのまま
    起き続けられる時間帯に、
    まずは、起きよう、
    というアドバイスになりますね。

    そして、日中も、
    なるべく、カーテンを開けて
    窓の近くにいるようにしましょう。

    窓のあるオフィスと
    ないオフィスで、
    浴びた日光の量に
    差が出るという研究、
    ありますから。

    ・・・

    そして、夕方から
    夜にかけてのコツです。

    これも、どれだけ、
    実験でのキャンプに近づけるか、
    ということになります。

    まず、部屋の照明は
    暖色系にする。

    そして、可能な限り、
    パソコンやスマホ、
    TVからのブルーライトを、
    避ける。

    これが、難しい!
    (ですよね…)

    でも、その刺激が入ると、
    脳とからだは、
    「ん?まだ昼か?」
    と勘違いする、その事情は、
    もう、お分かりですね。

    これをやらないと、
    どんなに日中、
    しっかりぶらんこを
    押しても、

    引き方がまずくて、
    しっかりスイングしなくなる。
    (というイメージです)

    ・・・

    さて、
    睡眠リズムが整わない時、

    Do:
    日中に、
    日光を浴びる総量を増やし、
    夜に、
    ブルーライトを浴びる総量を減らす。
    その上で、
    徐々に、朝、網膜に
    日光を入れ始める時間帯を調整する。

    Don’t:
    その逆をする。
    あるいは、
    自分のクロノタイプや
    自分の現状から
    かけ離れたスケジュールを組んで、
    一層、概日リズムが乱れる。

    いかがでしたでしょうか?
    同じ悩みをお持ちの方は、
    ぜひ一度、お問い合わせください。

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